space ●日本人と山space
山水画


縄文時代spacespace
■上野原縄文の森
  ●山こそ日本人の 心のルーツ(ふる里)
 「山」は日本人にとって、切っても切れないものです。国土の殆どを占める山岳風土、山々こそ古くから日本人の生活を支え、精神を培ってきたと言えます。
 山に暮らす古代人にとって、生きていくために不可欠な水、火をおこす木、そして生命をつなぐ食べ物としての木の実、果樹や山菜、獲物などこういった自然の恵みの多くは、山々から調達されたものでした。(海辺の民は海の幸も)
 「山」は生命の源泉そのものでした。原始の人々の多くは、この豊かな恵みに囲まれ山中で生活を営み、水稲の伝来後は、平地を求めて山を下り、稲作を始め里を作るようになったものの、山への畏敬と崇拝は衰えるどころか、山そのものを神と崇め、自らの根源を投影してきました。
 山の神より賜った生命は、死して山に帰ると信じ、そのために死者を山に葬りました。「山から生まれ、山に帰る」という日本人の精神の支柱はここから築かれててきたのでした。

古代食space
■自然生のとろろ汁(縄文の味?)
  ●山の幸・じねんじょうは貴重な生命の糧
 じねんじょう(自然生・自然薯)は秋から翌早春まで約半年にわたって採取が可能です。そして大きな根部やその実の「零余子」(むかご)は滋養が豊富で、アク抜きが必要なドングリのような木の実と違って、生でも食されることができることから、米や麦も知らない古代日本の原住民・縄文人にとっては、寒季の貴重・不可欠な食材でもあったのでしょう、山の幸として不動の位置にあったと思われます。それ故、古い説話や風習の中にイモとそれに関わる事象が数多く残されています。
 そして遺伝子レベルでもこの山の幸に育まれた 記憶が刻み付けられているのでしょうか、土を思い出すような自然の風味を口にした時、ほのかに感じるなつかしさのような心身のゆらぎはそんなところからくるのかも知れません。

古代食
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■古代ハンバーグ?
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古代食
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■丸子の宿
  ●メジャーフードからファーストフードへ
  日本各地の縄文遺跡の調査からデンプン質の根茎類であるヤマノイモが、当時の人々のメジャーフードであることが報告されています。また調理された形跡も残されています。遺跡から出土するものの中に「縄文クッキー」と呼ばれるハンバーグ状の炭化物が発見されることがあります。クッキーというよりハンバーグに近いものかも知れません。多分、イノシシかシカの肉を使い、木の実を混ぜたもので、つなぎには当然ながら山芋が使われたと想像できます。
 稲作時代に入っても、じねんじょうは貴重な山の幸であり続けました。平安時代には、珍味・佳味の宮廷食の食材として重宝されている様子が、芥川龍之介の「芋粥」にも描かれています。

 中世以降、漢方において「山薬」という名で、薬用として普及(★別称「山薬」を参照)していく一方、庶民の間でも元気の出る栄養食・健康食という食材として広く親しまれていきました。
 歌川広重の東海道五十三次・丸子にも、「名ぶつ とろろ汁」の看板を掲げた小さな茶店が描かれています。この創業: 慶長元年(1596年)のとろろ屋さんが代を重ねて、現代でも営業しているのは驚きです。また十返舎一九の東海道中膝栗毛(弥次喜多道中)に鞠子の名物として描かれたり、「梅若菜丸子の宿のとろろ汁」と芭蕉も句にしており、この街道の人気店であったことを偲ばせます。
 麦飯に山芋を擦り下ろしたとろろ汁をぶっかけたシンプルな食事(ファーストフード)ですが、消化の良い栄養食で、胃にもたれず、旅人たちにはずいぶん重宝されたようです。



じねんじょう山芋 space
■日本原産種・ジャポニカ
  ●希少な日本原産種のパワー植物
 今や私たちの食卓にのぼる野菜のほとんどが外来種の植物です。 ヤマイモ類もナガイモ、クツネイモなどを総称してヤマイモと呼びますが、 これらは元来、畑作の栽培用に渡来したものです。そのような中にあって、太古より、列島の人々の生活の糧となってきた自生種のヤマノイモは古い朋柄のような深い繋がりをもつ自然の恵みです。
 ジャポニカ(japonica)という学名をいただく希少な日本原産種のヤマノイモをいつの時代からか「自然に生えるところから自然生(じねんじょう)と呼ぶ」ようになりました。前述の通り、糧として、薬として、嗜好品として「じねんじょう」は、日本の風土と合わさって、長きに渡って私たちの生活文化と関わってきた稀有な植物です。

●「じねんじょう」の呼称について

     


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